2010-02-15

風呂

マジョルカで凍えている珠です。

島内に多く植えられているアーモンドの白い花は、
景色を真っ白に変えることから「マジョルカの雪」とも呼ばれているそうです。
寒空の下、咲き始めています。


とにかく寒い今日この頃。。

40度オーバーの熱い風呂につかりたい。
体をゆったりと伸ばして、じっくりと体の芯まで温まりたい。
温泉に入りたい。

・・いや、そんな贅沢は申しません。
実家近くに銭湯がいまだにいくつもあることに感謝し思いを馳せる。

日本の風呂に入りたい。

こちらでシャワーだけでなく、
バスタブがあるのは良い方だと認識してはいるのですが
焚けない風呂は寒いのです。

最高温度で張った暖かい湯に入ってホッと一息・・ついたと思ったら、
湯は冷めていて、入浴前より体が冷えていることに気がつく。
毎晩そんな繰り返し。


さて本題。

「風呂」は「風呂」でも「漆風呂・うるしぶろ」に入っているリングの写真が
福井の山久漆工さんより届きました。

この「風呂」も、熱くはない。w 


「漆風呂・うるしぶろ」は「室・むろ」とも呼ばれる、
漆を乾燥させるためのスペース。
押入れのようなスペースの内部は、漆器の種類、大きさに合わせて
配置ができるように、板などで段々に区切られている。
(リングの後ろに、黒漆のお椀が見えていますね。)


現在、職人さんたちの手により製作過程にある漆塗りのリングが乾燥期間に
入っています。

エボニー(黒檀)をリングの形状に成形したものに、

LMJオリジナルカラーに配合された本漆を職人の方々が重ね重ね塗ってくださり・・
(乾燥、磨き仕上げ、完成後の色調はまた変化を遂げているものです。
塗りの段階で見られる、↓ のような元の色調はポップで驚きのかわいさ!!)






塗られた後に「風呂」「室・むろ」内で乾燥し,漆は丈夫な塗膜を形成します。

「漆」の「乾燥」とは,いわゆる水分の蒸発によるものではなく、
ラッカーゼという酵素の働きで,適度な湿度と温度条件のもとで
化学的な反応により硬化「乾燥」するもの。

化学的には、
ウルシオールという油の中に糖が溶けた水滴が分散してい る油中水滴型エマルジョン。
この分散している水滴中に含まれている酵素ラッカーゼにより、
空気中の酸素を取り入れ,うるしの主成分であるウルシオー ルが重合し
長くつながり,さらに酸化重合により網目状に高分子を形成し硬化する。

乾燥させるためには酵素ラッカーゼの働きを活発にする必要があり、
このために適当な温度と湿度(20~30・C,65~80%RH)が必要。

そこで,うるしの「乾燥」は「漆風呂」「室・むろ」内で、
適当な湿度と温度に保たれた環境の中で行われます。


乾燥期間を経た後に、さらにいくつもの工程を経て、
完成に近づいてゆきます。

また別の工程についても追ってご紹介したいと思います。


皆様、暖かくお過ごしくださいませ。

( 珠 )

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